風力発電

http://www.town.higashiizu.shizuoka.jp/tsukuri/fuuryoku.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A2%A8%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB#.E7.89.B9.E5.BE.B4
http://www.nakahara-iki.co.jp/wind_power.html
http://homepage1.nifty.com/cubo/wind/mill1.htm#TOC2
風力を建てよう

デンマークでは、数人で出資し、風車を建てて お金儲けをすることがあります。
日本で、これが可能か検討してみましょう。

風車を建てる場所の検討
風車の規模の検討
風車の経済性の検討
風車の収支性の検討
風車のリスクの検討
最期に

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風車を建てる場所の検討
風車を建てる場所として、以下のことを検討しなければなりません。

風が強いこと(年間平均風速が 6m/s以上が望ましい)
風の乱れ度が小さいこと(風が強くても、竜飛岬のような突風が多いところは トラブルが増えます)
風車を建てる場所が確保できること(狭いところで風車を建てるとお金がかかります)
海外では ヘリコプターで建てた例もあります。
風車を運べるところ(富士山のてっぺんは風が強いですが 運ぶのは難しいです)
近くに病院や学校施設、出来れば民家がないこと。(風車は 騒音があり、陰を作ります)
風車をつないでも 問題のない電気系統であること
デンマークでは、農民が農地に風車を建てます。よってデンマークには以下の利点があります

山がなく 真っ平らなため 風が安定してます。(乱れ度が小さい)
農地の1部を利用するため 作業場所が確保できます。
自分の所有物なので、多少音がしても 気にしません。
電気のネットワークが、グリット状で 連携点が1万V 住民も電圧変動になれています。
デンマークでは、多少 電圧が下がっても あまり気にしていません。わたしが いたときも電気が暗くなったりしてました。

これらのことを考慮すると、日本では 平地が多く 風が強い 北海道か九州が優れています。
個人的には 北海道で検討を始めてみましょう。(台風がこないと言うのもメリット)

事業を成功させるためには 年間平均風速 7m/s以上で 近くに変電所があり 安く土地を貸してくれる 真っ平らな場所を見つけることが必要です。

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風車の規模の検討
風車を建てる場所が、決定したら以下のことを検討しなければなりません。

自己資金はいくらか?
風車を建てる場所は?
系統の強さ 電力会社の許容容量 考え方
最初に考えなければならないのは お金の問題です。
地球に優しいからだけでは この計画は 挫折します。

現在、政府より 風車を建てる際 補助金制度があります。
この中で、個人で使えそうなのは ”新エネルギーの導入を行う事業者への助成制度”です。
これですと、債務保証と事業費の一部補助(補助率 1/3)になります。
要するに 建てるお金の1/3を 国が出しましょうと言う意味です。(個人の例はありません)

この他に、税率も安くなる制度もあります。

では、風力発電設備はいくらするのでしょうか。この質問が一番難しいところです。
この値段が 一人歩きすることは 大変危険ですし 台数 規模 土地の状態等で ころころ変わる数値だからです。
安くなる条件としては、航空法が適用されない場所、アクセス道路が確保されており、港から近く、地盤が安定していて、土を捨てる場所があり......と言う風になります。

ここでは、KWあたり 20万円とします。(かなり安めです)
800kW級 風車1台を建てたとすると 1億6千万円になります。
もし、NEDOの申請が通れば 1億円の自己負担になります。

一般的に 風車を複数台建てる際は 卓越風向に 平行に3D 垂直方向に10Dと言われています。
電気の安定度から見ると1/ √n(n:台数)で安定するといわれています。(竜飛の実績)
ただし、建設コストは 台数が少ない方が有利になります。

最期に、系統の強さですが 電圧降下と 周波数変動の問題があります。
これは、専門家や電力会社と協議する必要があります。

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風車の経済性の検討
もうすこし、建設費について検討してみましょう。

輸送費
日本製(三菱しか大型機はありませんが)と海外製(デンマークまたはオランダ)がありますがとうぜん、海外機は 輸送料がかかります。
私の経験によれば、だいたい 日本の国内輸送費(港から現場)と、海外の風車工場と日本の港が同じ値段です。
一部の海外メーカは、アジアに生産工場を持つことも考えているそうです。(日本が有力らしいですが...)
また大型機の場合 そのために道路を作り直す必要もあります

土木工事費
風車を建てる、地面のならし代です。
もし、建てる場所が 平らな土地なら お金はあまりかかりません。
これが、公園にしようとか 山を削って...となると これだけで 数千万円かかってしまいます。
農地の一部に 風車を建てることも 現在の法律では禁じられています。
「農地転用」に当たるからです。

建設費
デンマークでは、作業者4人×1週間+クレーン操作 3人×2日で 風車を建ててしまいます。
これは、建設の条件がよい デンマークだから出来ることですが、建設の熟練工を使えば日本でも短時間で建設できます。
一般的に、日本は建設費が高いと言われます。経済構造的な問題もありますが、メーカ各社 頭を痛めていることだと思われます。

風車本体の価格
各風車メーカに問い合わせてください。ディスカウントは可能なようです。
これ以上は書けません!

電気設備
買電をするためには、一般の需要家(電気を使う人)のため、電事法という、厳しい規制があります。
この法律のために、私たちは安心して電気を使えるのですが
海外機は、これとの兼ね合いが難しく、コストアップにつながります。

メンテナンス費
風車も機械ですので、定期的なメンテナンスが必要です。
これは、毎年かかります。
今回は、自分たちでメンテをして 材料費のみとします。
風車も機械なため 壊れます。(絶対壊れない機械はありません)
そのための 積み立てまたは保険が必要です。
ここでは、それらを含めて 年100万円とします。(かなり安めです)
私の聞いた例ですと 年300万円でした。

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風車の収支性の検討
収入について考えます。
ここで、買電(電気を売る)をするかしないかに分かれます。
ここでは、買電のみについて 書きます。

電力会社は、買電に関して通常2つのメニューを持っています。

単純な買電
企業や町等が、電力会社に発電した分の電力を売る場合
電力会社によって異なりますが 約11円/kWhになります。
複数年契約等、各電力会社によってメニューがあります。
現在は 入札制度が中心で 九州電力の場合 2000kW以上の設備は九州電力が計画した風車の量までの価格の安い風車から買われて行きます

余剰電力を買電
通常、風車が発電した電力の50%以上を自己の設備で消費した場合
電力会社が通常の電気代で購入すると行っています。約17円になります。
魅力的な価格ですが、自己の設備が必要なため 難しいです。
電力会社は、電力ピークに合わせて、発電所を建てます。
日本だと、夏の昼間になります。
風力は、風のあるときに発電するため この電力設備の削減に全く寄与しません。
電気代は、設備費できまるため 風力で発電した電気をあまり高く買うことが出来ません。
買えば買うほど電力会社が損をすることになります。
また、風車は電力供給側(電力会社)にとって じゃまになることがあります。
このことから、これ以上の電力単価は望めそうにはありません。

私の個人的な意見では、自然エネルギーに関して 国が購入価格に補助をしないことには日本の風力は難しいと思います。

この発電所では、設備利用率が30%とします。(かなり風が強いです)
年間発電量=800kW×24時間×365日×0.3=210万kWh

年間収入は、すべて買電した場合 2300万円になります。

この他に、近くで 風車饅頭とかを売れば収入になるかもしれませんが...

収益 2300万円とすると、NEDOの申請が通ったとすると 1億円の負担なので、約5年(年間費用)で元を取れることになります。
商売としては、あまりよい方ではありません。
しかし利点があります、材料費がただなので 6年目以降は 毎年 2千万円の売り上げになることです。
20人 出資者を集めたとすると、1人当たり 500万円の出資です。
そうして 6年目以降は 年間100万円の利益になります。(たぶん配当は 50万円ぐらいでしょうが)

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風車のリスクの検討
よい面ばかりを書きましたが、当然 リスクについても考えなければなりません。
ここで、いくつかの例を挙げます。  

故障(機械なので 壊れます)
天災(落雷、台風、洪水)
風が吹かない(天災?)
電気料金の低下
法律の改正
初期の風車に、トラブルが多かったため 保険料は 一般的に高いといえます。
車と同様に メーカ、設置場所によって保険料は変わるべきと考えます
そのため、多くの風車は 保険に入れない状況です。
デンマークの研究(1511WECs)によれば、故障の20%は制御系、36%は要素の故障トラブルです。
しかしながら、どんな自然環境でも壊れない風車を作ることは コスト高になります。
アメリカでは、壊れた風車は そのまま放置して 次の風車をたてるそうです。

天災で 一番多いのは 落雷です。
TVで放映された 松任の風車ブレードが燃えるシーンを見られた方もいるのではないでしょうか
これを防ぐためブレードメーカ(LM社)は ブレード先端に雷を落とす場所をつくり 安全に落雷させます。
当然 落雷の少ない場所に建てるのも 対策の1部です。

風が吹かないのは、防ぎようがありませんが 変動は6%以内であるという研究もあります。

電気料金は、原料を輸入しているため 円の変動の影響をうけます。
もし、大幅な円安が起これば 買い取り価格は高くなります。

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最期に
これらのリスク、メリットを考えると、個人では日本では風車はすばらしい投資とは思えません。
投資ファンドとしてみる手はありますが...
日本にて個人で風車を建てるには 現状では難しいと思います。
ではなぜ、デンマークでは ほとんどの風車は個人所有なのでしょうか?

風が強い
といっても 5−7m/s程度ですけど
農民は広大な土地を持っている
自分の土地なので うるさくても気にしません
政府が 買電価格の90%価格の買い取りを義務化
最近 法律が変わったかもしれません
農民に大切な収入源
農民は定期的な収入がありません。その点 風車は定期的な収入となります。
銀行が土地を担保に安く貸してくれます
農民は土地を持っているので、それを担保に安い金利でお金を貸すことが出来ます。
よって、日本で個人所有風車を建てるには、これらの条件が大切になりそうです。

追記:入札制度、大型機の問題点を追記しました